ーOOO-3Dテレビ元年、その夜明けは近い!
「手が届きそうな映像が映る3Dテレビが、手が届きそうな値段で発売されそうだよ」…というレポートを書いたのは、つい半年前のことでした。
3D立体映像のすごさは認めつつも、まだピンと来てなかったあのころ。
しかし今ではみなさんもご存じのように、3D上映のアバターが世界中で旋風を巻き起こしています。
日本国内に話を限っても、観覧者の約8割、300万人が3D上映を楽しんでいます。
今後のハリウッド映画では、3Dの作品が増加傾向にあります。
つい先日も、スパイダーマンの4作目は3Dで、と発表があったばかりです。
また、3D上映館の数も増え続けています。
ほんの半年で、リアルな3Dがグッと身近なモノになった感じがしますよね?
パナソニックは今年2010年を「家庭の3D元年」と呼び、新しいプラズマテレビ「3D VIERA」と、ブルーレイレコーダー「3D DIGA」を発表しました。
その実力はどんなものなのか? 体験してきたので、そのレポートをお送りしますね。
ざっくりと先に値段から書いてしまいますが、この3D VIERA、54インチで約50万円!なのだそうでありまして、いやはや、なかなかお高いですな。
TH-P54VT2 | 54型 | 3Dプラズマ | 53万円前後 |
TH-P50VT2 | 50型 | 3Dプラズマ | 43万円前後 |
TH-P50V2 | 50型 | プラズマ | 36万円前後 |
50型同士で比較すると、3Dのあるなしで約7万円の差。ぶっちゃけ、ポンと出せる金額ではないですよね。
この日発表になったVIERAのラインナップには、もっと廉価なグレードもあったし、液晶テレビだってありました。もっと手の届きやすい価格で3D対応機を出す選択肢もあったはず。
ではパナソニックはなぜ、プラズマの最高機種の最上位グレードに3Dを用意したのでしょうか?
その答えは簡単で、「美しい3D映像を表示するためには、高いスペックが必要だから」なのです。
まず第一に、プラズマテレビは、液晶テレビに比べると大画面化が容易なのだそうです。
それから、美しい3D画像を見るためには、黒いモノをより黒く写す「黒しまり性」が重要です。
この黒しまり性が高いと、3D画像にどう影響するのか? 下の画像を見てください。
左の宇宙空間の画像は背景が黒いですが、右の画像は背景が白っぽいですね。
3D画像がどうのこうのという以前に、黒いモノをより黒く写すだけで、画面に奥行きが生まれます。
ところで原理的に見ると、液晶テレビは液晶をシャッターとして動かし、裏から光を当てることで画像が表示されます。このため暗いシーンでも裏からライトが当たることがあり、このため漆黒の黒を表示するのは難しいとされています。
これに対し、プラズマテレビは画素そのものが光ります。だから暗いシーンは暗く表示することが簡単です。
プラズマテレビは黒いモノをより黒く映す「黒しまり性」が高く、3Dに有利なのです。
さらに、液晶は高速な画面の切り替えが不得意とされています。
さっきワタシは「液晶画面はシャッターを動かしている」といいました。これを「小さく区切った小部屋の中でネバネバした液体が動いている」と考えると、どうでしょう? 液晶に高速な画面切り替えは、不得意そうですし、残像が残りそうですよね?
プラズマは、表示させたい部分を光らせたり消したりするだけ。このため、残像が残りにくいのです。
今回の3D VIERAは液晶シャッター式の3Dメガネを使って画像を見ます。
ちょっとゴツいですが、メガネのツルのふくらんでいる部分にボタン型電池が入っています。
重さのバランスが鼻当てと耳に分散される位置なので、映画館で使うようなゴツいヤツに比べると自然な装着感です。
ところでこのメガネ、液晶部分とツルが分離しています。
このデザインのおかげで、自分のメガネをかけたまま3Dメガネを装着した場合にその隙間にフレームが入るので、あまり邪魔になりませんでした。
実際にメガネの効果を試してみましょう。
これはシャッターの切り替えがオフになっている状態。
魚が左右にぶれて表示されているのがわかるでしょうか?
そしてオンにした状態。
左目用の画像だけが左レンズに表示され、魚はぶれずに見えますよね?
レンズに反射してワタシの姿が写りこんでますね…サンプルなのにお見苦しくて申し訳ないです。とほほ。
さてさて。
実際に3D画像を見た感じがどうだったのか? それを言葉で説明するのは難しいですな。写真に撮ってもその3D感を伝えるのが難しいわけで。
あのですな。
海のシーンでは、奥行きを感じる事ができました。
水族館の巨大な水槽を、目の前でのぞき込んでいるような感じです。
昨年夏にパナソニックさんのイベントで見た3D映像では、目の前に飛び出す不自然さがあったのですが、今回の3Dデモでは自然な3Dらしさ、奥行き感が強まっていました。
今回発表になった3D VIERAは50型と54型のプラズマだけでしたが、「まずは黒しまり性が良く、画像の書き換えが速く、大画面のプラズマで3Dを楽しんでほしいです」ということで、今回のラインナップになったということです。
パナソニック担当者さんによれば将来的にはより大画面も、あるいは小さいモノも検討中で、さらにゆくゆくは液晶で3D VIERAということも検討中、というお話がありました。
まだ今年は「3D元年」ということで、なかなか手が出ない値段ではありますが、ゆくゆくは多くの家庭で3Dを楽しむときがやってくるのではないでしょうか。