ーOOO-「笑顔0円」…ハッピーセットの舞台裏!
マクドナルドのハッピーセットって、子供にとっての「初めてのマクドナルド体験」ですよね。
ハッピーセットは世界のマクドナルドで行われているキャンペーンです。日本では22年も続いていて、1年間では約20回、合計3億個ものハッピーセットが販売されているんですって。
で、今回は「ハッピーセットの舞台裏」というテーマで、日本マクドナルドさんにお邪魔してきました。そして現在行われているハッピーセットのキャラクターとなった「ぜんまいざむらい」を例に、グッズを作る上での苦労話などをうかがってきました。
「親」と「子供」のためのハッピーセット
ハッピーセットというのは、
- ハンバーガーかチキンマックナゲットのどちらか
- フライドポテト(S)かコーンサラダのどちらか
- ドリンク
そしておまけのおもちゃで構成されます。
毎回のキャンペーンではいろいろなキャラクターグッズが用意されるのですが、これってどんな風に決めるのでしょうか? それは、
- キッズシンパシーがあること
- 男子にとっての「かっこいい」
- 女子にとっての「かわいい」
- さらに、友達の間で人気があること
- 両親の受容性
- 「子供に買ってあげてもいいかな」という感じ
- 暴力的なキャラクターではマズい
- 二世代間での受容性
- 両親も子供も知っていて大好きであること
- 息の長い、根強い人気を持っていること
- コラボレーション
- お得感
- もらって得した感じ
- マクドナルドでしか手に入らない感じ
そういう目線で眺めてみると、ぜんまいざむらいはキッズシンパシーと両親の受容性はばっちりです。
最近の番組なので二世代間での受容性はありませんが、ぜんまいざむらいのキャンペーンは初めてだから、こういうグッズは過去にありません。マックでしか手に入らない「お得感」がずば抜けています。
さらに、ハッピーセットのおもちゃの安全性は、以下の部分に注意しているそうです。
- 三角ねじを使用
- 家庭のドライバーでは開けられない特殊なねじを使用
- ゲージ(=幅)テスト
- ある程度以上大きく作ることで、子供のノドを通らないサイズにしてある
- 強度テスト
- 投げても、踏んでも、噛んでも、壊れない強度を確保している
- トレーサビリティ
- 商品を見ればいつどこで製造されたものかわかるようになっている
- 不良品が発生した場合は、配布した店で呼びかけられるようになっている
日本専売の商品だけど、よくみると各国語で注意書きが書かれている
たとえば、この『必笑だんご剣』はプラスチックで出来ていて堅いので、ちょっと当たると痛いです。だから私は「プラスチックじゃなくてゴムとかで柔らかく作ればいいのに…」と思ったんですが、そうではなくて、「噛んでちぎれたり飲み込んじゃったりするとマズい」から、堅くて丈夫に作られているんですね。なるほどー。
ハッピーセットのこういうグッズを作るためには、構想から商品化までに約1年半ほどかかるそうです。
万に一つも市不良品は許されないのに、なにしろ年間トータルで日本だけでも3億個販売されるわけですから。作られたグッズの試作と安全性の検証を考えても、かなり手間暇がかかりそうですよね。
もちろん、企画はそれだけではありません。
今回のぜんまいざむらいでは、「もしもこの世界にマクドナルドがあったら?」という想像力と遊び心を発揮させて、「江戸時代のマクドナルド」を作っちゃいました。
「スマイル0円」が『微笑0円』になってますよね。
さらに、企画の段階ではこの『必笑だんご剣』を『必笑チキンナゲット剣』にしたら面白いんじゃないか? というアイディアも出たのだとか。
そのアイディアはボツになったのですが、『微笑0円』なら面白くてアリで、『必笑チキンナゲット剣』はナシなのか、言葉で説明するのは難しいですよね。
そのキャラクターの世界観を壊さないように、マクドナルドとなじませる、あるいは膨らませるようなグッズを考えるのが難しいところで、面白いのだそうです。
「おじいちゃん」と「私」のためのハッピーセット
さて、今回のイベントでは最後に
「あなたがハッピーセットを作るなら、どんなハッピーセットを作りますか?」
というアンケートが出されて、みんなでいろいろ考えました。
「両親の受容性…」とか、「キッズシンパシーが…」とか考えながらグッズを考えるのは難しいですよね…。
発表の時には「それ、即採用!」とか、「うわー、それオレもほしい!」みたいなアイディアがたくさん出て、発想力の個性や豊かさが面白かったです。
え、オレは何をプレゼンしたかって?
それは…
ああっ!
出オチです! あんまりツッこまないで!
でも、もっとちゃんと考えて考察を深めてみる。
「おじいちゃんと孫のコミュニケーション」のためのハッピーセット、っていうのはアリだと思うんですよ。
親と子のハッピーセットって言うのは、「少子化」「30代の非婚率の高まり」を考えると、先細りな市場だと思うんですよ。
で逆に、今は団塊の世代が定年をむかえていて、まだまだ元気なおじいちゃんが会社勤めをやめて、家にいる、と。
ね、「おじいちゃんと孫の」って、ありそうじゃないですか?
ウチの父は70代で、マクドナルドに行ったことがないんだけど。
そんな父が、
「あのな、父さんな、○○さんたちとこないだ、マクドナルドに行ってきたぞ。○○さんはハイカラでな、ああいうとこに結構行くんだって言うんだよ。」
と、すごくうれしそうに話してました。
ハンバーガーを食べようとしたら××さんは口が大きく広がらないから噛めなくて、入れ歯を外してクチビルの部分をベタベタにしながら口に押し込んでたぞ、とかそう言う話を、おもしろおかしく話すんですよ。
マクドナルドに行ったことのないおじいちゃんたちでも、そこが「ハイカラな場所」だと感じている。
だから、行ってみたいような、なんだか気恥ずかしいような…。
そういうおじいちゃんたちに、マクドナルドに来るためのキッカケを作ってあげられればなぁ、と。
で、「おじいちゃんがマクドナルドに来るとしたら?」ということを考える時に、たとえば「商品ラインナップにおかゆをそろえよう!」とか思うと失敗する。「うめぼしバーガー」とか、「昆布茶シェーク」とかを考えるとコケる。
元気なおじいちゃんが嫌がるのは、「おじいちゃん扱いされること」だから。
わざわざマクドナルドに来るお客様には、マクドナルドのメニューでお出迎えをしたい。
ハッピーセットって3歳から8歳の子供でも食べられるようなメニューなワケだけど。
考えてみればコレ、おじいちゃんにも食べやすいメニューなんじゃないかな?
挽肉をパンで挟んである。入れ歯のおじいちゃんにだって食べられるワケだ。
「おじいちゃん」になった「私」のためのハッピーセット
いつかは自分もおじいちゃんになるわけで。
で、70歳になった自分は、毎日おかゆと梅干しばっかり食べるんだろうか?
たぶん、違うんじゃないかなぁ。
昔と今では食生活は大きく変わっていて、2010年を生きるボクたちがおじいちゃんになった時は、おかゆと梅干しだけでは物足りないと感じるんじゃないだろうか?
ハッピーセットは、3歳から8歳の子供たちのためのメニュー。
離乳食を終えた子供たちが、初めて食べるマクドナルド体験。
いわば、マクドナルドのハッピーセットが「おふくろの味」になるのだ。
ハッピーセットを食べた子供たちは大人になっても、おふくろの味のようにマクドナルドを食べ続けるのだ。
それは、日本の食生活を、文化を、根本的に、決定的に変えてしまった。
ボクたちがおかゆと梅干しを「おふくろの味」として懐かしがることはないだろう。
そして、ボクたちがおじいちゃんになった時には、マクドナルドのハンバーガーを「おふくろの味」のように懐かしがる時が来るのだ。
そんなボクたちが、おじいちゃんになったときにマクドナルドで食べたいメニューを、今から少しずつ研究していってはどうだろうか。
「巣鴨で歩いているおじいちゃんたちに食べてもらうメニュー」というと、雲をつかむような話になる。だけど、「おじいちゃんになった自分が食べたいメニュー」なら、少しはキッカケがつかめる。
「うめぼしバーガー」とか、「昆布茶シェーク」とかそういうんじゃない、おじいちゃん臭くないメニューを。
そして「日本の味」
そんなことを思っていたら、マクドナルドから新製品の発表がありました。
これって、おじいちゃん世代から見たらどうなんでしょうね? けっこうイケてる気がしませんか? 「普通のバンズじゃなくって、米粉入りのバンズで出来てるんだよ」
みたいな「和風さのさじ加減」って、おじいちゃん臭くないけどおじいちゃんにアピールできるポイントだと思いませんか?
話はそれるんだけど、物を作る時ってターゲットセグメンテーションとか考えたりする訳じゃないですか?「女性向けの…」「若者の…」「子供に…」とかそういう感じ。
でもホントは、子供から両親、おじいちゃん世代まで食べたくなるような、万人向けの商品を作れたらスゴいし、一番売れるはずと思いませんか?
ということでマクドナルドさんには、親と子のハッピーセットだけじゃなくって、おじいちゃんおばあちゃんもハッピーになれるような商品や店舗を期待します。