ーOOO-踊る3

 まーネタバレなしでざっくりと。
 興味がない人は以下読まなくていいし、というか踊る3も見に行かなくて良いのでは。
 踊るのテレビシリーズは、機動警察パトレイバーポリスアカデミーのようなものを目指して作られた、というのはわりかし有名な話であります。警察内部のドタバタ劇と、新人警官の成長を描く、と。


 警察内部のドタバタ劇という点。
 踊るのテレビシリーズは、従来の刑事ドラマの枠組みを壊し、新たな「リアル」な警察ドラマを作り上げたような、そんな印象だったのだけど。
 たとえば事件が発生すると、まず捜査本部にどんな名前を付けるかで一悶着がある…こういうシーンはギャグではあるんだけど、「ホントの警察もそうなんじゃないか?」と思わせるようなブラックでリアルなジョークに見えた。
 今回の映画は徹底的にドタバタギャグが連発するような話だったので、個人的に期待していたものとは方向性が異なり、残念に思いました。


 主人公の成長という点。
 今作の踊る3では最初のドラマシリーズから13年もたっていて、主人公の青島はもはや新人ではなくなり、係長という中間管理職的なポジションについています。
 踊るシリーズはもはや新人刑事青島の成長ストーリーではないわけで、ならば何らかの新しい方向性を見いだして、軸に据えるべきではなかったか、と。


 ドラマでは頼りなく思えたはずの袴田課長や魚住係長。けれどいざ青島が「係長」というポジションになってみると、思ったように現場には行けず、書類にサインし続ける日々。あのときの袴田課長や魚住係長は実は有能だったのではないか? 学ぶ部分も多かったのではないか?
 そんな日々の中、頼りない新人刑事たちに「刑事とは何か?」を指導していく。
 困った時、苦しい時には「和久ノート」を読み、自分はどうすればいいのか天国の和久さんに問いかける。
 …地味ですか?
 でも、そういったストーリーが必要なんだと思うんだなぁ。


 今作のような派手なドンパチがあって2時間半で完結!っていうのは、なんか違う気が。
 今後の踊るシリーズは、もういっかいテレビドラマシリーズを1クールやったらいいんじゃないだろうか。丹念にエピソードを積み重ねたらいいんじゃないか。そうして新人係長としての青島の成長を描く、と。
 でもドラマを1クール撮るより、予算をふんだんに使って映画を撮ってドーンと儲かる方がお金になる(なにしろ100万人突破!)から、テレビ局的にはそっちの方がいいんでしょうかね?