ーOOO-8時30分ちょうどの、あずさ7号で

 サントリートピックスさんのブロガーイベントに運良く当選したので、先週の土曜日にワタシは山梨県にある白州蒸留所の見学ツアーに参加することとなったのでした。

 集合場所は、山梨県にあるJR小淵沢駅。集合時間は、朝10時45分。
 気軽に何気なく参加してはみたものの、新宿駅から小淵沢駅は特急あずさに乗っても2時間14分かかるのだ。運賃もなかなかのもので、おサイフに優しくないですな。前日に指定席券を買おうと思ったけれど、すでにあずさ7号の指定席券は売り切れてたのでした。


 そしてイベント当日、土曜日の朝。
 肌寒い時間に起きて、どんどこ電車を乗り継いで。
 新宿駅に着いてみれば、あずさ7号の発車するホームには早くも長蛇の列が。
 あずさ7号がやってきて、あわてて自由席の窓際の席に腰を落ち着けて、ようやく一安心。
 あとは、座ってさえいれば小淵沢駅に付くのだ。
 椅子を少し倒して、テーブルを起こして、パソコンとデジカメを用意する。
 そしてネットに接続して、ぽちぽちといつものようにネットの巡回を始めてみた。
 いつも楽しみに読んでいるページを、あちこち巡回して回る。
 あずさは三鷹駅に着き、自由席は満員になった。
 ふと顔を上げれば、いつもの通勤風景とは違う車窓の風景が広がる。
 今日はせっかくの旅行なんだから、いつもと同じコトをしてももったいない。お出かけ気分を満喫することにしよう。パソコンを閉じ、窓の外の景色を眺めた。
 八王子駅ではさらに乗客の数が増え、立ち乗りのお客さんが出るほどの混雑になっていた。
 
 高尾駅を超えるころには、列車は街を抜け、山の中を走っている。
 森を抜け、あずさはトンネルに出たり入ったり。
 長い長いトンネルを抜けると、青空が広がっていた。
 山があれば谷があり、谷底には川が流れている。細い細い名も知らぬような川の流れは、いつか寄り集まって、大河となって海に流れていく。
 サントリー白州蒸留所は森に囲まれた静謐な空間であるという。
 新宿から延々と特急に乗って森や山の中を走り続けていると、到着はまだまだ先なのに「なるほど、白州は大自然に囲まれた、森の蒸留所なんだなぁ」と実感させられる。


 母方の実家は宮城県で、米どころだ。父方の実家は青森県だが、実家の目の前には田んぼが広がっている。
 だから、山梨県のぶどう畑が延々と広がる風景が物珍しくてたまらない。
 山梨県ウイスキーだけでなく、ワインの産地でもあるのだ。
 あずさが勝沼ぶどう郷に着くと、列車の中のお客さんがドッと減った。
 通路に立ち乗りのお客さんがいなくなって、はじめて車内販売の駅弁売りのお兄さんが登場だ。
 朝ご飯抜きでココまで来たから、お腹がペコペコだ。
 すみません、おべんとう、何がありますか?
「では、わっぱめしなどはいかがでしょうか?」
 木で出来た「わっぱ」からは、ほんのりと木の香りがする。
 森の中を抜ける特急で食べる駅弁にふさわしい。
 
 お弁当を食べていると、窓の外の信玄餅の看板が目にとまった。
 信玄餅、ちょっと食べてみたいな…。
 っていうか、そうか、武田信玄はこのへんにいたんだったっけか。
 信玄は、こんな山の中から天下統一を目指そうとしていたもんだなぁ…と思うと、なんだかクラクラする。
 へんぴな場所で、ドデカい夢を持って、燃えていたのだ。
 信玄はなんで山梨を選んだんだろう?
 生まれ育ったから? うん、もちろんそれはそうだ。
 このあたりは山深いから、自然の要塞として地形を利用していたのかな。
 そう思うと、段々畑だって要塞の一部のように見えてくるから不思議だ。普通の斜面よりも、段々畑の方が乗り越えるのが大変だろう。敵兵は必然的にあぜ道を通らざるを得ないし、信玄は先回りして事前に待ち伏せをしかける事が出来るのだ。
 
 自分よりも強いモノを打ち負かし、あるいは屈服させ続けて、天下統一を目指すのはしんどいことだ。
 だが、全ての人を「力で屈服させる」のではなくて、多くの人に「認められる」という方向性なら、どうだろう?
 言い換えると、「世界征服」と「世界一」、どちらのほうが実現性があるだろう?


 結局武田信玄は、ちっぽけなニッポンを天下統一することさえ出来なかった。
 だが、サントリーウイスキーは世界に認められる製品を次々に送り出し続け、2010年には「ウイスキー ディスティラー オブ ザイヤー」を受賞したのだ。

 
 へんぴな山梨県の森の奥深くから、世界一と認められるウイスキーを次々に送り出し続ける、サントリーの白州蒸留所。
 なんでこの場所にサントリーは蒸溜所を置いたんだろうか? それにはれっきとした理由があるのです。
 ということで、そのへんのヒミツについてはまた今度ということで。