ーOOO-わからないものがわからない

 会社で「『熱海の捜査官』って堤幸彦だよねー?」と聞かれたのだが「ちがいますよぉ、ほら、あの、えーと…」と言葉に詰まるオイラ。
「ほら、あの、えーとオダギリジョーのドラマとか映画とかいっぱい撮る人でー、『亀は意外と早く泳ぐ』とか、『時効警察』とか…」と、これくらい単語が出てくるのに、肝心の監督の名前が出てこない。
 しばらーくうんうん考えて、結局ロッカーにケータイを取りに行って、ググったのでした。


 ワタシはちょっとでも疑問が出来たらググって解決している。
 ググり方が上手になってきているから、ずいぶん曖昧な単語からでも正解にたどり着く能力が高くなっているのは確かだ。
 けれど、意外にワタシの脳の老化は進んでいて、もうけっこう物忘れが激しいんじゃないか? と思うと不安だ。というか、ちょっと怖い。


 最近は暗算をしなくなったから、ちっとも暗算が出来なくなっている。電卓がなければ計算一つ出来はしない。
 同じように、手元のケータイのGoogleが使えなかったら、ワタシはものすごくバカなんではないか。というか、実はもう、すっかりボケてきちゃってるんじゃないか?
 ボケてきているんだけど、検索エンジンがあまりにも優秀だから、自分がボケていることに気づかずにいるんじゃないか?


 わからないことがあった時に検索をかけると、答えが得られる。でもそれ以上検索することはない。ホントに自分が知りたかったことは、別のページに書いてあったんじゃないか?
 自分のモヤモヤした気持ちは自分が言葉にするしかないのに、検索で得られた言葉に満足して、本当の自分の気持ちにたどり着けずにいるのではないか?
 とりとめのない考え事をしていて、最初に考えていた疑問が何だったか分からなくなることがあるように、とりとめもなく次から次へと検索を続けていて、最初に考えていたことが何だったか分からなくなることはないだろうか?


 そうそう、結局『熱海の捜査官』は三木聡監督だったのでした。
 三木聡監督作品だと、ワタクシ『転々』が好きなのです。コレを秋に見ると、なんだか散歩しに行きたくなっちゃうんだよなー。