ーOOO-観光地としての羽田空港考 … あるいはサイクリングと観光について

 ここ何回か、羽田空港について書いているワタクシなのですが。

 で、今回のイベントにご招待してくださったJALさんから
「完成直前の新しい羽田を見ていただくことで、思ったところや、忌憚のないご意見をいただきたいのです」
ということなので、ワタシが思ったところをつらつらと。


 羽田新国際ターミナルを見物するのは楽しいものですな。
 ぷらぷら歩き回って、飛行機を見て。ただそれだけでうれしくて、時間が過ぎていきます。
 で、新国際線ターミナルがオープンした後のニュースによると、ここを訪れる人の約半分が飛行機とは関係なく「単に空港を見に来ただけ」のお客さんだっただそうです。
 また羽田空港は今回、新国際線ターミナルだけでなく、第2旅客ターミナルの展望デッキをひろげています。
 羽田空港は旅行の通過点だけじゃなくて、空港それ自体が観光地となりつつあり、アミューズメントパーク化しつつあるのです。


 空港と都心のアクセスも、徐々に改善されつつあります。京急もモノレールも新駅を増設しましたし、京急は蒲田付近の高架化をすすめていますし、首都高も新線を急ピッチで建設中です。
 都心からのアクセスの良さは、旅客だけでなく、羽田自体への観光客にもメリットがあるわけです。


 ところで、自転車乗りにとって、多摩川はサイクリングロードが有名です。
 そして、羽田空港多摩川の河口に位置します。
 このため、これからは多摩川サイクリングの目的地として羽田空港を目指す人が増えるのではないでしょうか。
 実際、道路の整備や新ターミナル建設により、以前よりも自転車で羽田空港に向かうのは簡単になったようですし、また実際に自転車で見学している人も多いようです。
 ですが、「羽田空港には自転車置き場が存在しない」という問題があるようです。


 いままでは自転車で羽田に来るなんて考えられませんでした。
 空港の旅客はたくさんの荷物を抱えて移動するものです。トランク、キャリーバッグ、お土産などなど。だから、これまでは自転車で羽田に来る人なんてありえなかったし、自転車のことは全く考えられていなかったのだと思います。
 しかしこれからは違います。飛行機の利用を目的としない、サイクリングのついでに立ち寄る人が増えるのですから。


 サイクリングのお客さんを抜きにしても、先に述べたように羽田は都心との接続が良くなりますから、羽田自体を観光するお客さんは増えるでしょう。
 空港自体への観光客を相手にしたお店やサービスが増えていき、羽田がアミューズメントパーク化することが、羽田にさらなる収益をもたらすことでしょう。
 これからは「アミューズメントパークとしての羽田空港」のありかたを考えることが大事になります。
 ということで、そのための第一歩として、羽田空港は自転車置き場を整備してみてはいかがでしょうか?


 とはいえココだけの話、マジ系のサイクリングのお客さんはあんまりお金にならないんじゃないかなーなどと思うワタクシなのですが。
 サイクリング系の人は身軽に走りたいから、手ぶらで帰っちゃう。お土産とか買ってってくれないんですよね。
 飲食系はアリなんですけど、アルコール系は飲んでいってくれないし(っていうか自転車も飲酒運転禁止です)、満腹になりすぎると動けなくなるから、あんまり食べてくれない。
 あと、サイクリング系の人は、用意しておいたウィダーインゼリー的なモノを計画的にチュウチュウ吸って栄養を補給しながら走っているイメージもありますな。これじゃまったく売り上げに関係ねー。
 ということで、サイクリング系のお客さんは、一般に比べて客単価が低いイメージがあるんですよね…。
 で、そんなサイクリング系の人に向けた施設というと、シャワー室とか? でもたぶん、羽田から折り返して自転車で帰るから、シャワーなんか浴びないかな…。むしろジョギング系のお客さんをあてこんでシャワーを設置するとか。
 あ、あと、自転車のメンテナンス屋とか? パンク修理とかね。でもガチでサイクリングする人は、自前でパンク修理しちゃうからな…。
 んー、難しい。
 観光地でサイクリング客相手に商売するなら、何がいいんでしょうかね? っていうかソレは観光地に勤務しているオレ自身が知りたいくらいなのですが…。