ーOOO-「その街のこども」

 「その街のこども・劇場版」を見てきたですよ。
 まだ2月だけど、ワタクシ的には今年の「マイ・ベスト3」に入れておきたい…それくらい、好きな映画でした。

ストーリー
 阪神・淡路大震災から15年を迎える前日、神戸で偶然知り合った男女。二人は神戸出身だったが、震災をきっかけにこの街を離れていた。震災の追悼式典が行われる東遊園地を目ざし、二人は夜の神戸の街を歩き始める。

 ここ何日か、この映画を見た感想を書こうとして何度も消している。
 消してしまう理由は、阪神・淡路大震災があまりにも大きな事件すぎて、「そのことについて私に何が言えるだろうか?」と躊躇してしまうから。
 それでも何度も書こうとしてしまうのは、映画を見た後でいろいろな想いがこみ上げてきて、なんとかしてそれを書き留めたいからなのだ。
 ということで、以下ちょこちょこっと支離滅裂なことをメモ。


 震災は一瞬で大きな被害をもたらした。そして、震災をキッカケに様々な物事が変わっていった。
 見かけの上では街にピカピカの建物が増えたかもしれないけれど、それさえも震災がもたらした大きな変化の一つにすぎない。安易に「復興しましたね」などとは言えない。
 建物が変わっただけではない。暮らしが変わり、人間関係が変わっていった。
 震災の前の日常には、もう誰も戻れないのだ。「あの日」は今と地続きで、この先もズーッと続いていく。
 この映画はピンポイントな「あの日」の物語ではなく、昔から今に連なる「その街」の物語なのだ。


 ふるさとを歩いてみると、懐かしい建物を見て何かを思い出すこともあれば、建物が無くなっていることで思い出すこともある。どこへいっても何を見ても、思い出があふれてくるものだ。
 楽しい思い出を思い出すこともあれば、不意に悲しい記憶の扉が開いたり。
 そういう子供の頃の自分と向き合うハメになるのは、自分がその街と不可分な「その街のこども」だったから、なのだ。