ーOOO-オレとジャイアントコーン

 いきつけのショッピングモールに入っているシネコンに行って、映画を見ることに。チケットは買ったが、上映時間まであと30分。ひまつぶしにゲーセンへ。ところがココは、コインゲームとパチンコとパチスロしか置いてないゲーセンだったので、ゲーマー的には大変つまらない。
 うろうろ歩いていたら、UFOキャッチャーの並びに、アイスクリームキャッチャーが設置してあった。
 何、コレ?
 ルールはこんな感じ。制限時間内なら好きなだけアームを動かせる。ツメは3本指。景品を転がす部分がフタ状になっていて、景品を落とす瞬間しか開いてない。言い換えると、転がしたり引っかけたりして落とすのは不可なのだった。
 面白いじゃないの、やったろうじゃん。
 ワタシは景品やらアームやら、ぐるぐるとあちこち眺める。
 そして4つあるアームのうちの、ジャイアントコーンのあるゾーン。ここに狙いを絞った。
 ワタシの狙いは一つ。ジャイアントコーンを2つ組み合わせてビニールで巻き、そこにリングをつけた景品。ただ一つ、コレだけだ。これ以外は取るのは困難だ。


 ちょっと深呼吸。
 そして、おもむろに100円を投入。
 ♪てろりろてろりろ…
 楽しげな音楽が流れるが、真剣勝負だ。
 アームを前後左右に動かす。アームは何度でも動かし放題なのだが、止めるとユラユラゆれてなかなか止まらない。制限時間いっぱいまで動かすと、降下中にアームが揺れて狙いがはずれてしまうだろう。やはりコレは短期決戦だ。一発で決めて、制限時間いっぱいまで粘ってアームの揺れを最小限に抑えるべきだ。
 ジャイアントコーンは形はデカいが、アタマの部分にだけクリームが詰まっていて、重量バランスがおかしい。狙い所は中心部分ではない。
 2コのカプリコに付けられたリング。ただソコだけを狙う。
 制限時間いっぱい。アームが勝手に上から降りてくる。
 頼む! アームの先よ、リングの中に通ってくれ!
 確かにアームはリングの中央へ降下する。
 ぐさり。
 よし行け、アーム!
 セコいゲーセンだと、閉じるバネがスカスカに弱くて、つかみあげられないどころか閉じる瞬間に品物がポロッとこぼれ落ちるものだ。
 ぐいっと閉じるときに、アームは確かにリングを引き寄せ。
 そして確実に持ち上げた。
 よしっ、来いっ!
 二つのジャイアントコーンは、ぐいと持ち上げられ。
 周りで眺めていた家族連れは、オレをうらやましそうに見ていて。
 最後にジャイアントコーンは、確かにポトリと取り出し口に落ちてきたのだった。


 わずか100円で、ジャイアントコーンが2個。
 へへん、どんなもんだい。得意げなワタシ。


 ワタシをうらやましそうに見ていたお父さんとその息子さんは、自分たちもアイスを狙ってみることにしたようだ。
 「あんなふうに上手くいかないと思うけど、じゃあコレを狙ってみようか?」そんな話をしていた。
 だけどワタシの見たところ、他に簡単にとれそうなアイスはない。ジャイアントコーンは見た目より重量バランスが悪いのだ。
 それから、ワタシ1人でジャイアントカプリコ2個は、ちょっと多かった。
 100円でアイスを2個取ったうれしさもあって、ワタシは
「一人じゃ二つも食べられないから、お一つどうぞ」
と、ワタシはその親子連れにコーンを一つ、プレゼントしたのだった。
「ありがとうございます!」
と、お父さん。ちっちゃい男の子もうれしそうだ。
 と、そこに奥さんと、さらに子供が2人。しまった、3人兄弟だったのか…。
 3人兄弟に、ジャイアントコーンを1個だけプレゼントしてしまった!
 ワタシが余計なことをしたせいで、そのあと兄弟がケンカにならなかったかが心配だ。