ーOOO-ご破算で願いましては

 ウチの会社の後輩が、昼休みになると本を片手にウンウンうなっているので、「何読んでるの?」と聞いてみたら
和算術の本です」
 はぁ?
「なんか江戸時代の数学の問題って言うか、パズルって言うか…」
 どこらへんが江戸時代的なのかって? そーいう部分は手を動かしながら解いてみる方が話が早い。ということでワタシも和算に挑戦してみた。読者の皆さんは、会社の昼休みに男二人が数学の問題を前にウンウンうなっているところを想像しなされ。


 江戸時代の数学の問題と聞いて、最初は平成教育委員会的というか日能研的というか、まあ中学入学レベルぐらいの問題を想像していたワタクシなのだが。ところがぎっちょん。
「…っ、わっかんねぇ…」
「こんなに答えるのに時間がかかるようだと、平成教育委員会だと時間切れで『そこまで!全員の答え!』とか言われちゃってますよね…」
「おい、この問題どう解いた?」
「これはですね…(略)。っていうかこの会話、現役の受験生みたいですよね…」
 脳にイヤな汗をドップリとかきながらも、ときに答えがスイスイ出てくるときがある。
 しかし得られた答えが「ルートの中に分数が入ってさらにルート」、みたいになると半信半疑だ。答えを見てソレが正解だったとしても、モヤッとしてスッキリしない。解けた手応えがない。
 ねじれにねじれた途中の計算をエイヤッとこなし、最後に得られた答えがキレイにスパッと「ー1」とか「0」とかなると、とても気持ちいい。マンガみたいにアタマのてっぺんに「!」ってランプが光ったような、そんな気持ちだ。解けた手応えがあって、本当にスッキリする。
 オトナになってひまつぶしにクイズでも解くような気持ちで数学の問題を解くのも良いものだ。どうして現役高校生時代にはこんな気持ちになれなかったのか…と、ちょっと反省してみたりして。


 ところで真剣に脳みそを振りしぼると、けっこう疲れてフラフラする。いや、マジでマジで。
 昼休みがちっとも休憩時間にならないのは困るので、ワレワレのこの局地的な和算ブームはもうすぐ終わるんじゃないかなー?と思うのだが、お互いに意地と意地がぶつかりあって、真剣に問題を解き合っているのであった。