ーOOO-ねこうんこ

 いつも愉快な弊社なのだが、ある日とてつもない悪臭に襲われて平和が脅かされるなどする。
 ソレはねこの落とし物のせいなのだが、当然誰も拾いたがらないので、いきがかり上ワタクシが拾うことになったのであった。っつーか、オレも拾いたくないですよう。
 会社の奥の細い路地からエラいニオイがするのだが、暗いので良く見えない。懐中電灯であちこちを照らすと、転々とブツが落ちていて、パサパサに乾いていたりなんかする。段ボールでチリトリをつくって、ゴリゴリ削りとる。オゲーッ! エラいニオイだ…。
 それらのブツの中に一回りデカいのがあって、見るからに「これ」という気配を放っている。っつーか気配を放つだけなら良いが、ニオイさえ放っているのだ。
 段ボールでゴリゴリ削ろうとすると、フニャッとした感触。
 中が生。
 やたらとクリーミーなブツの中で、うぞぞぞっとウジが這いずり回ってる。げげげっ、とんでもねぇ。あまりのヤバさに息を止め、撤去にかかる。
 気配やニオイだけでなく、もはや殺気さえ放っているブツ。しかし、ソレは都合の悪いことに、床のコンクリのひび割れに設置してあった。平滑面と異なって、撤去が非常に困難だ。
 撤去作業に手間取っているウチに、息を止めているのが苦しくなってきて、おもわず呼吸する。
 その瞬間。
 おげぇぇぇぇッ!
 あまりのニオイに、瞬間的に胃が縮む。思考や判断を飛び越し、身体が反射的に拒否する臭さ。ヤバい!
 胃の中のモノは吐かなかったが、身体の中の空気を吐き出しつくし。
 酸欠で苦しくて、思わず息をする。
 げぇぇぇぇッ!


 ツラく苦しい戦いは終わった。身体中の闘う力は失われ、もう仕事する気がなくなっちゃったっつーか、家に帰りたいっつーか。
 しかし長々と書いてはみたものの、実際にはこの戦いは10分程度のモノであり、時刻は朝9時なのであって、仕事はまだはじまったばかりなのであった。
 いやもう、とんでもない日だったよ…。