ーOOO-『DOG×POLICE ドッグポリス 純白の絆』

 いやー、まー、ちょっとカワイイ女の子がいて、犬と人間の友情が描かれて、手っ取り早く感動して号泣! みたいなものを期待して映画を見に行ったワタクシだったのですが。
 とにかく主人公の無鉄砲さと成長の無さにイライラ。
 まあ映画というモノは、その物語を通して主人公の成長とか変化とかをえがくモノであるから、主人公がちょっとくらい愚かでもいいじゃないか!と思っているワタクシなのですが。それにしたって成長しなさ過ぎで、ちょっと事件に出くわせば一人突っ走ってトラブルのタネをまき散らし、各地で見事なトラブルの花を咲かせるのであった。
 この映画、友人知人方面にはあんまりオススメしませんな。


 ところでこの映画に出てくるカンニング竹山は、ちょっとキモオタっぽい警官という役どころなのですが。
 その机の上には、「機動警察パトレイバー」というアニメの主役メカであるイングラムの巨大フィギュアが飾ってあるのですな。
 いかにもオタクっぽい! しかも通っぽい!
 シロートならここでガンダムを持ち出すところを、あえて機動警察パトレイバー
 警察を舞台にしたアニメと言うことなら、他にもたとえば「逮捕しちゃうぞ」だってあるのに、あえてパトレイバー
 なぜパトレイバーよ?
 しかしそこに、大きな意味が隠されているような気がしたワタクシなのでした。


 ざっくり言ってしまうと、この映画の監督や脚本家さんは、「パトレイバー」みたいな作品を作ろうとしていたんではないか?と思うんですな。
 その舞台は警視庁警備部。犯人逮捕を目的としたチームではない。
 都心の警視庁から遠く離れた場所に、ぽつんと一軒、独立したチームとして存在している。
 警備犬は「装備」として扱われているのだが、巨大ロボットもまた装備である。主人公は「装備」と心を通わせ、その扱いに習熟していく。
 時任三郎演じる隊長は、警視庁に勤務していた頃は切れ者で知られていたが、この部署に飛ばされた。おお、後藤隊長っぽい。
 松重豊が演じる刑事は、警視庁で何が起こっているかを伝える役も担っている。おお、松井刑事っぽい。
 そのほかそのほか。細かくこじつけていけばいろいろある。
 また、「機動警察パトレイバー」は刑事物のドラマのお手本になっている、という事実もある。かの「踊る大捜査線」は、パトレイバーをお手本にしたという話もある


 ドッグポリスは、パトレイバーみたいな作品を目指していた…と仮説を立てると、今後の映画のストーリーに夢が膨らむ。
 この映画はドラマの第一話みたいなものだったから、登場人物や舞台の紹介でずいぶん時間が取られている。
 主人公がぜんぜん成長していないから、今後のストーリー展開はまだまだ余裕がある。主人公は単独行動ではなくて、仲間とともに捜査することを覚えるだろう。「誰か一人がヒーロー」じゃなくて、連係プレーで捜査する様子を見てみたい。また、仲間との連携を描く中で、今回の映画ではあまり触れられなかったそのほかの登場人物の個性をもっと見てみたい。


 ワタシは「この映画はあんまり面白くなかったなー」とは思っているのだが、なぜだか今は「次回作が楽しみだなー」という気持ちにもなっているのだった。
 なんだろう、こんな気持ちは初めてだなー。