ーOOO-シロートには「スマグラー」をオススメしない件について

 いやーまぁ、そらぁ大変な映画を見てきたですよ。シロートにはオススメしない。
 なにしろPG12。情け容赦ないバイオレンス。個人的に「見て良かった!」とは思えないんだけど、やたらめったら印象的な映画だったので、何度も思い出しては「こんな映画があってさぁ…」と、他人に語ることでありましょう。

 
◆ストーリー
 役者志望でフリーターの砧涼介(妻夫木聡)は、自堕落な生活の果てに借金を作り、裏社会の非合法な運び屋「スマグラー」をせざるを得なくなった。
 砧は、上司のジョー(永瀬正敏)や同僚のジジイ(我修院達也)と共に、中国マフィアが惨殺した暴力団組長たちの死体を運ぶ仕事に成功する。
 砧たちの次の仕事は、死んだ組長が率いていた暴力団の依頼で、組長殺しの実行犯である殺し屋「背骨(安藤政信)」を彼らの元へ運ぶというものだった。砧は「背骨」を監視していたが、持ち前の人の良さから油断してしまい、「背骨」に逃げられてしまう。
 暴力団相手の大仕事で失敗し、窮地に陥った砧たち。ジョーとジジイは「背骨」を追い、砧は「背骨」の代役として暴力団に差し出されることになったのだが…。

 まーザックリ言ってこの映画の後半部分は、暴力団という悪逆な王にとらわれたセリヌンティウス妻夫木聡と、殺し屋を捕えて彼の元に戻ろうとするメロス永瀬正敏の「走れメロス」的な物語で、なおかつ捕らわれたセリヌンティウスの視点中心で物語が進むのですな。ざっくりまとめすぎですが。
 そしてこの物語での悪逆な王は、組長を殺されて怒りに燃える高嶋政宏。で、この男が残忍かつ加虐的な性格で、妻夫木聡を苛烈な拷問にかけてイジメ抜く。いやーもう見ちゃいらんないよ!
 ちょっと話はそれるけど、ついこないだ高島政伸のヤクザ役を見て「イメージ変わったなぁ」と思ったワタクシだったのですが、今回は高嶋政宏のヤクザ役ですよ。それまでのイメージから一皮も二皮もむけた怪演に、それは役者の成長だよなーと思いつつ、高島一家はドコに行くの…?とも思ったりするのでした。


 捕らわれたり失敗したりでいいトコなしの妻夫木君に対し、やたらとカッコいいのが永瀬正敏。ダサいジャンパーを着ていてもカッコいい。
 先日、映画「毎日かあさん」での父親役の演技を見て、役者・永瀬正敏がもっと見たいなぁ…と思っていたワタクシなのですが、今回の映画でその魅力をバッチリ堪能ですよ。
 この物語の本当の主人公は永瀬正敏なんじゃないかっ?とさえ思っているワタクシです。永瀬さんが主人公だと考えたら、この映画、続編もイケそうなのですよね。
 だけど、観客を非日常の世界に導く役目としては、やっぱ妻夫木君が主人公の方がスマートなのかな…。っていうか、あの拷問されてるシーンの真に迫った絶叫はスゴい演技で、妻夫木君も役者だよね…。


 野郎共が血まみれの殺しあいをしている映画の中で、女性陣の美しさは目の保養です。
 なにしろ松雪泰子ゴスロリでメガネかけて登場ですよ!?なんかベヨネッタみたいで、その美しさにグッときてしまうワタクシです。
 しかしその正体は闇の金融業者であり、美しき守銭奴。そしてこの映画は悪人だらけの物語。問答無用でボコられて、鼻血をたらすハメになるのでした。oh…。


 などとこうしてツラツラと感想を書いてみると、やはり印象深いシーンの多い映画だったのだなーと自分で再確認しますな。
 とはいえやはり最初に述べたように、この映画、シロートにはオススメしないのですが…。