ーOOO-Yokoso! JAPAN

 師走の夜の電車は大混雑なのだが、今夜はトラブルだかなんだかで電車が止まってしまったらしい。ホームの上は人でごった返して、とても危険な状況だ。
 と、そこにようやく電車が入ってきた。
 人が多すぎて歩けない状況だったのだが、電車がホームに入ってくると整列が崩れ、ホームがざわざわする。
 と、そのとき「キャー!」とか「ワー!」みたいな叫び声が聞こえた。
 何事ッ!?
 見れば、10メートルくらい向こうの方に20人くらいの金髪の人々がいて、満員電車の満員ぶりに驚きの声を上げていたのだった。なんだかみんな若そうだったので、海外の大学生の短期留学か、研修旅行か、そんな感じに見えた。
 ドアが開いて、人がドヤドヤっと降りてくる。
「オーウ」「ワーオ」そんな声が聞こえる。彼らは驚きを隠しきれないようだ。「コレが噂に聞いたトーキョーの通勤ラッシュか…」とでも思っているのだろう。
 そして彼らは電車に乗りこまなければならない。
 狂いまくったダイヤのせいで、電車の中はすし詰めだ。こうなると、電車に乗りこむというよりは、割り込むように強引に身体をねじ込んでいくわけなのだが、遠くで彼らが難儀している様子がうかがえる。
「ンーフー」「イッソークレイジー
 それは苦しんでいるようでもあり、楽しんでいるようでもあった。
 ワタシだってこの電車に乗りこまなければならない。ドアのギリギリのところにつま先立ちになって、カバンを薄く薄く抱えて、ギリギリで乗りこんだ。
 ようやく電車は発車した。
 彼らの中の何人かは電車に乗りこむことが出来ず、ホームからワタシたちを見送っていたのだが、その表情は明るく楽しげで、「いまワタシはトーキョーらしさを堪能したぞ!」といいたげだった。