ーOOO-ワタシと映画と2011年

 2011年に見た映画を、ワタクシ的にちらちら振り返ってみます。
 振り返ってみれば劇場で30本の映画を見たんですけど、そのなかから3本+αくらいをチョイスしてみます。
 …と書き始めて、指が重い。
 今年の出来事を振り返るには、東日本大震災のことを避けて通れないからなんだろうなぁ。


 まずは「その街のこども 劇場版」。

 阪神・淡路大震災で被災した子供が、15年ぶりに神戸を訪れて…という物語。
 震災15年をテーマにしたNHKのドラマだったのですが、大変な反響を呼んだためにテレビで何度も再放送され、とうとう映画として劇場公開されることになった作品です。
 映画公開当時、ラジオなどで取り上げられることもあり、そのときに聴取者から
「マスメディアが震災を取り上げるときに『被害にあってかわいそうだね』という一方向から切り取った物語になってしまうけれど、それだけじゃなくてもっともっといろんなことがあったんだ、ということを言いたい」
とか
「自分は被災者なんだけど、あのときの体験を語ろうと思うときに、もっともっとひどい被害にあった人のことを思うと、『自分も被害者だ、大変だった』と言うことは言えない。だけど自分より大変な体験をした人に話を聞こうとすると、やはりその人も『もっと大変だった人もいるから、自分はたいしたことない』と、多くを語らない。だから、沢山の人が被害にあったにもかかわらず、そのほとんどの人はその大変さを語らないままだし『自分は被災者だ』とは言えずにいるし、何か遠い余所事のような感じがする」
といった意見がありました。
 あの大震災を違う形で見直す意識が世間や自分に少し芽生えてきたところで、東日本大震災が起こりました。
 「震災」が他人事ではなくなった時点で、ワタシはこの映画を冷静に見ることが出来なくなってしまいました。この作品のDVDを買ったんだけど、今も封を切ることが出来ずにいます。


 次の映画は「プリキュアオールスターズDX3 未来に届け!世界をつなぐ☆虹色の花」

 アニメのプリキュアたちが全員集合して戦う物語です。
 物語の終盤、街が波にのまれて灰燼に帰しちゃう的なシーンがあって、後悔が大震災直後ということで、時節柄ハラハラしてしまいました。
 そして全ての力を失い、変身が解け、力尽きたプリキュアたち。もう、ダメなのか?
 と、そのとき。
 「ワタシたちプリキュアは、どんなことがあっても、決してあきらめない…!」
 そして立ち上がるプリキュア達。
 劇場内の子供達は、ペンライトを振りまくりですよ!
 大変感動しました。
 ところで、コレが大震災直後でなかったら、ここまで感動しなかったと思うんだな−。観客の置かれた立場によって、映画の印象は全く変わってしまう…というあたりまえのことを感じます。
 ですが、ワタシはこの作品を今年の3本の中の1本に選びたいと思います。とにかくあのとき劇場に足を運んだ子供達にたくさんの夢と勇気を与えていて、本当に素晴らしい作品でした。


 そういえば、震災直後から映画を見なくなったなー…と感じていたのですが、実際に自分が見た映画を振り返ってみると、震災から3ヶ月くらいのあいだ、映画をたくさん見ていました。
 思えば、震災直後からしばらくのあいだ、テレビを見るのはツラかったですっけ。
 家にいる間はネットでYouTUBEの震災関連動画を繰り返し見たり、放射能関連の情報を検索しまくって、分かったような分からないような気持ちになって、不安が全く解消されなかったりしてましたっけ。
 あのころ映画をたくさん見ていたのは、ツラい日常をホンのつかの間忘れたかったからなんだなぁ。


 と、まあ、ここらへんで震災の話から離れて。
 今年の映画では、「洋菓子店コアンドル」と「プリンセス トヨトミ」は自分なりの解釈で味わい尽くすことができたので、オススメ度は低いながらも個人的にはすごく楽しい作品だったです。

 「岳-ガク」くらいの映画って、ワタシは好きなんだけど、あんまり評判にならないんだよね…。個人的に富士山に登ったこともあって、ちょっと押しておきたいところ。

 「毎日かあさん」の永瀬正敏さんには主演男優賞を。「冷たい熱帯魚」のでんでんさんには助演男優賞を差し上げたいところ。

 「探偵はBARにいる」は、今後たのしみなシリーズになりそうです。

 深津絵里さんがとびきりかわいい「ステキな金縛り」は、三谷幸喜さんの監督日記「監督だもの」をあわせて読むと、楽しさが増しますぞっ。


 んで、ワタシが選ぶ今年の3本、最後の一本が「電人ザボーガー

  
 正義の味方も歳をとる!
 ということで、主人公の25年後の中年時代を板尾創路さんが演じます。
 これはギャグなんだろうか…?と思っていたのですが、ところがぎっちょん。大マジだったんですよ、コレがッ!
 正義と悪の間で苦悩する主人公。
 正義とは?
 友情とは?
 愛とは何か?
 それらが重なり合う、奥深いストーリーでした。
 ハリウッド映画に比べれば数段落ちる低予算な特撮なのですが、テレビ放映当時の懐かしい味を保ちつつCGを合成していて、たいへん好もしかったです。


 余談なんですが日本の特撮好きの友人が
「ハリウッド映画のヒーローって、なんか変身する前から強そうじゃない?」
と言っていましたっけ。
 考えてみれば、イマドキの平成ライダーは、イケメンかもしれないけれどヒョロヒョロしていてちっとも強くなさそう。
 そこんとこいくと、昔の特撮ヒーローは変身する前からすでに強そう。ちょっと太くて、胴長短足。要するに、空手家とか柔道家とかの、格闘技で鍛えている身体なんですよね。
 特にこの電人ザボーガーでは、主人公は変身しない! 素手で改造人間と戦う! ということで、主人公は空手で鍛えまくった懐かしいヒーロー体型をしていて、「あー、昔のヒーローって、こうだったよな…」って感じでとても懐かしかったです。


 さらに余談なんですが、ところで、かなり昔の伊集院光深夜の馬鹿力」の中で、「スペクトルマン」の話をしていたことがありました。今回ワタシは「電人ザボーガー」を見ていて、そのときの話を思い出してしまったですよ。ネタバレになるので書かないですけど。
 で、井口監督は今回の電人ザボーガーに、スペクトルマンのフレーバーを足したのかなー? などと思いました。


 サクサク書こうと思ったんですが、思ったより長くなりましたなー。
 ということで本年の更新は最後と言うことで。
 皆さん良いお年を。ではではまた来年。