ーOOO-想いがギューッと詰まったXperia NXとXperia acro HDのタッチ&トライレポート

 このあいだ米国の自動車会社が「日本は軽自動車枠を撤廃しろ!」と言ったとかなんとか。
 これを聞いて「日本市場には独自の事情があるんだし、アメリカは日本にあわせた車を売ればいいのに」って思いませんでしたか?
 だけどコレがもし、携帯電話市場の話になると、どうでしょう?
「国内メーカーは日本市場に特化したハイスペックで高価なガラケーを作ったから、海外進出に失敗した」とか「世界市場を狙うなら単一機種の大量生産でコストを下げて、グローバル展開を目指すべきだ」みたいな話になっちゃいませんか?
 あれれれ?
 はたしてぼくらは、ひとつの機種で世界展開するiPhoneのようなグローバル端末が良いんでしょうか?
 それとも、ワンセグおサイフケータイも付いた日本市場向けな端末が良いんでしょうか、ね?
 
 まー、ドッチでもいいっちゃー、ドッチでもいいんですが(←ええええっ)、そんなことをチラッとアタマの片隅に置きながら、前回のレポートの続きであります。
 AMNさん経由で応募したソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社さん主催のXperia NX&Xperia acro HD タッチ&トライイベントの模様をお送りしますですよ。


 この2機種をパッと見くらべれば、大きさも重さも画面の大きさもほぼ同じ、CPUもデュアルコアの1.5Ghzと、共通点は多いです。
 しかしじっくり見比べれば、そこには大きな違いが見えてきます。
 その違いこそが、さっきチラッと書いた「海外でも展開するグローバル端末」と、「日本国内向けの仕様を盛り込んだガラパゴススマートフォン」という部分なんですね。

 

 「Xperia NX」は海外では「Xperia S」と呼ばれ、同じ仕様で全世界で順次発売されるそうです。だから、日本国内向けのワンセグおサイフケータイはついてません。
 シンプルでいて、ハイスペックな端末です。
 Xperiaは代々、手に持ったときにシックリ来るカーブと厚みを持ち、重量バランスがよいので重さを感じさせにくいなーと思っているのですが、今回もとにかくデザインにこだわっています。

 この形が伝わりやすいようにザックリと説明すると、iPhone3/3GSのように丸みを帯びた背面を持ち、周囲はiPhone4/4Sのようにスッパリと切り落としてあります。
 Arcの逆アーチ型とは全く違いますが、これはこれでシックリと手になじみます。

 ちょっとサラサラした感触の白い塗装は、持ったときに滑らなさそうだし、汗のべたつきが目立たなさそう。個人的には好みであります。
 だけど、保護としてクリア層を吹いてない感じの生々しい白色だったので、傷や汚れが目立つかも? このへんは、実際に市販されたあとに店頭デモ機の汚れ方を見て判断したいところです。
 デザイン面の特徴をもう一つ。端末下部のアクリルは透き通っていて、向こう側がのぞけるほどです。また、ボタン部分を示すライトが光ります。
 よくよく見ると内部に細かい金網が見えますが、これらを通じて下部の基盤と電気的に接続されているんだそうです。

 ところでホームボタン等々は、実際にはアクリルの上、黒い部分をタッチしなければいけません。ついついアイコンが書かれてるアクリル部分をタッチして、操作ができなくて、ちょっとイライラしました。もうすこしアクリル寄りの部分でセンサーが反応してくれれば…と思ったのですが、このくらいは買えば慣れる範囲ではあります。
 あ、ちなみに今回タッチ&トライした機種はまだ試作段階なので、製品版では細部が改善される可能性があります。

 

 こちらはdocomoauから発売になるXperia™ acro HDです。
 国内専売モデルです。だから、ワンセグおサイフケータイもバッチリ。
 …ってことは、機能が増えたぶんだけ部品も増えて、Xperia NXより大きく重くなっちゃいそうじゃないですか?

 コレを解決するためにacro HDでは、背面のフタをはめ殺しにしました。
 このため、自分で電池パックの交換ができなくなりました。
 ですが、電池パックと本体のあいだのカベが無くなって、重量の増加を防ぎました。また、パーツが増えた厚みも吸収することが出来ました。内部の空間に余裕が出来たので、NXよりも電池パックの容量を大きくしてあります。また、背面のフタをキッチリしめたことで、防水性能を手に入れることができました。
 acroHDは、電池パックが交換できなくなると言うデメリットと引き替えに、いくつもの大きなメリットを手に入れたのです。
 地味に「便利そう!」と感じたのは、acro HDの本体側面に充電端子が備わったことです。
 ワタシはソニーエリクソンミニを持っているのですが、これは充電端子がありません。マイクロUSBケーブルを本体にブッ挿しているのですが、美しくないですよね…。

 それがacro HDなら、スタンドにスターンと立てれば充電オッケー!
 XperiaNXには充電端子がないので、ケーブル直接ブッさすハメになるでしょう。美しくない!
 ああ、acroHDのスタンド、うらやましいなぁ…。

 うらやましそうにジーッと眺めていたら、Xperia開発担当の女性がニコニコしながら近付いてきて、
「このスタンド、いいでしょう? がんばって作ったんですよー!」
と、おっしゃるではあーりませんか。
 せっかくなので、インタビューを。
― この充電スタンド、どこがどうスゴいんですか?
「スタンドに縦に載せたときに、横からグーッと来てガシャーンとハマる部分がですね−。…いやー、見えない部分で苦労してて、けっこうすごいんですよー!」
― ふーむ、見えない部分を開発担当なさっていたんですか?
「あのー、実はワタシは内部の電気回路系が担当でして。うーん、だからどうしても見えない部分の話になっちゃうんですよねー」
― では、acroHDの本体の内部で、どんな部分を開発するのが苦労しましたか?
「いやー、ここの部分にアンテナがあってですね−、で、こちらに無線、ここにフェリカの…おサイフのアンテナがあってですね、なおかつここにワンセグのアンテナが入っててですね−、それぞれが電波干渉しないでキチンと動作するっていうトコロですかねー…」
ー まさに、見えない部分ですね! じゃあ、見える部分ではどんな部分が苦労しましたか?
「えーと、じゃあ、この本体の背面部分なんですけど。カメラの近くのココんとこ、黒い部分がスピーカーなんですね。
 これを机の上にペタって置いちゃうと、普通ならふさがっちゃって音が聞こえないはずなんですけど、これを上手に工夫して、キチンと自然に音が鳴るようにしたんですよ!」

ー 机の上に置いちゃうと見えないけど、こだわってるんですねぇ
「そうなんです! 見えなくなっちゃうんですけど! …あ、見えないっていえば、もう一つ」
「コレ、本体正面の上部なんですけど、ここに自分撮り用のカメラが、まーるく隠れてるんですよ」
ー はいはい、見えますねぇ。
「で、その横にフラッシュの窓があって、それから近接センサーがあって、暗所センサーが埋まってるんですけど」

ー はー、そんなにたくさん!
「それが、表面からなるべく見えないようにするために頑張りました!」
ー またもや見えない仕事! とことん、見えない仕事なんですねぇ…。
「いやー、もうねぇ、そういう仕事なんですよ!で、そういう部分をバッチリ頑張りましたから! もうねぇ、そういうのがギッシリつまってますから、コレ、かわいいんですよねぇ」
 といって、開発担当のおねえさんは、ニコニコしたのでした。

ココまでのまとめ

 で、ですね、長くなってきちゃったんで、とりあえずまとめのようなモノを。
 日本には日本の道路事情に合った軽自動車があるように、日本人にあわせたガラパゴスケータイがあって良いのだ。
 私はちっちゃいものに色々な機能がギューッと詰まったモノが好きだし、それぞれの機能に作り手の想いがこもっているなら、なおさら欲しくなっちゃいます。
 ということで、もしも今回の新機種二つの中から選ぶとするなら、個人的にはXperia acro HDが欲しいなーと思っております。


 とはいえ、Xperia NXには…というかXperiaシリーズには開発者の方のコダワリが随所に詰まっているので、NXもオススメですよっ。
 私はソニエリminiを持ってますけど、コレはコレで買って良かったと満足しています。
 じゃあ。Xperiaシリーズはどこらへんがよいのか? どこらへんにコダワリが詰まっているのか? という話はまたいずれ。