ーOOO-あたらしい朝がきた

 そういうわけでNHKの朝ドラ「カーネーション」が終わり、この春からは「梅ちゃん先生」にバトンタッチなのであった。
 梅ちゃん先生の現在の舞台は、敗戦直後の東京蒲田。。
 思えばカーネーションも、終戦直後の何もない時代を描いていたことがあった。
 これら二つの朝ドラは、311後のドラマと言うことで、何もないところから立ち上がる人たちにエールを送るような作品を目指しているのでは、と思えた。


 カーネーションについて言えば、戦争で何もかもが失われた時代を描くだけでなく、和服の時代から洋服の時代にガラッと変わっていく様子を描いていたし、一品モノの洋服を作る時代から大量生産の時代への移り変わりを描いていた。
 どうにもならない時代の波がやってきて、自分が積み上げてきたモノが無になっていく。
 何度も何度も。
 で、そのたびに、主人公たちは知恵と度胸で時代の荒波を乗り越えていったのだ。
 その姿をドラマを通して描くことが、震災後の日本へのエールだったんではないか?とワタシは受け取っている。


 カーネーションが終わって、新しい朝が来た。
 そうしてはじまった梅ちゃん先生なのだが、舞台となる蒲田は空襲で一面焼け野原になっている。根こそぎ何もなくなった風景だ。
 家を失ったものがいて、家族を失ったものがいる。
 そこにバラックが建ち並び、ヤミ市が開かれ、人々はゼロから立ち上がろうとしている。
 第1週目の放送のサブタイトル「新しい朝が来た」というのは、戦争が終わって、新しい日本がはじまるという意味もあるのだろう。
 だが、ワタシが思い出したのは、NHKの朝のラジオ体操が始まる前に歌う「ラジオ体操の歌」のことだった。あの歌の歌い出しは、こう続く。
「新しい朝が来た 希望の朝が」
 ユルユルといいかんじでドラマが滑り出したので、梅ちゃん先生を楽しみに見ていこうと思っている。