ーOOO-ちょっとちょっと

 そういうわけで、ここんとこ歯医者に通っているワタクシです。
 見た目的にアレな虫歯が、医学的に症状的にひどいかというと、そうでもないことがある。
 ンで今日はその逆の、見た目的にはたいしたことなかったけど、実は根深い虫歯の治療だった日でした。
 麻酔をかけたあと、効き目が出てくるまでの間。あのボーッとしている時間は、ドナドナでも歌いたくなるような、うら寂しい気分。
 そしてゴリゴリゴリ…。
 歯は削られていきます。
 ちゅいーん、ちゅいーん。
 みゅうううーん、みゅうううーん。
 ドリルを変えるごとに、削られる音色が変わっていきます。
 そして甲高い音がするときは、おそらく堅いモノを削っているときです。
 キーン、キーン。
 逃れようのない甲高い音。
 何か堅いモノを、核心を削っている!
 センセイはオレの歯をどんどん削って、深いところまでいって、とうとうビミョーに麻酔が効いていない部分を削りはじめました。
 いや、しかし、治療なのだから、少しくらい痛くても耐えなければ…。
 ぐっ、ぐっとこらえていると、センセイが気がついたのか、
「あ、痛くありませんか?」
 と、治療の手を止めて尋ねてくれた。
 そこでワタシはあわてて「ちょっといたい」、と言おうとして
「ひょっほ」
と、情けない声を出しました。
 コレでは伝わらないなーとおもって、「ちょっと」という気持ちを必死で伝えようと、
 
と、指で示したら、
「ああ、オッケーですか。じゃあいきますね」
と、さらに奥深くへと容赦なく治療の手がぁぁぁぁ!
 いやしかしアレはセンセイが悪いんじゃなくて、オレが悪かったんだ。あの手の形じゃ誤解されても仕方がない。
 とはいえあのときの容赦ない一撃は、ガツンと来た。
 麻酔が切れてきた今現在、治療したはずの部分が、なぜだか痛くてたまらねえのであった。うううう…。