ーOOO-雄雌を決せぬ

 弊社は和菓子屋なので、どら焼きなんかを売っていたりするわけなので、卵もガンガンつかう。
 あるとき卵を割っていたら、中から羽みたいなモノが出てきた。
 あわてて破棄。
 1日に百個単位で卵を使っていると、ごくたまにこんなこともあるのだ。
「なんだったんスかね? いったい」
 あ、ひょっとして、有精卵とか?
「じゃ、なんでフツーのタマゴに、有精卵がまざっちゃったんですかね?」
 んー…。
 あ、こういうのはどうだろう?
 ホラ、ヒヨコの鑑別士のヒトが『オス、メス、オス、メス…』って、鑑別していくわけじゃん?
 で、そのときに『メス』って判定されたんだけど、実は『オス』なヒヨコが紛れ込んでいたとしたら…。
「なんかソレ、ありそうですね!」
 そうすっとさ、周りはメスばっかりなのに、鶏舎の中にはオスが一羽だから!
 これはすごいよ、もうちょっとしたハーレムだね!
「メスに囲まれちゃったりなんかして! うっわ、なんかそれ、マジうらやましいっすわ!」
 でも『おんどりはトサカがデカい』とか、見た目でわかっちゃうだろうから、ソッコーつまみ出されちゃうんだろうな−。
「…ですよねー」