ーOOO-この夏休みは、一足早い「芸術の秋」を! … おもしろびじゅつワンダーランド展
暑中っ、お見舞い申し上げますっ!
(中略)
さてさてみなさん、夏休みのご予定はお決まりでしょうか?
この夏休みは、あなたも美術館巡りで一足早い「芸術の秋」を満喫してみてはいかがでしょうか?
え、「クソ暑い真夏に、芸術の秋とか言ってんじゃねーよ」って?
ホラそこはソレ、まだまだ暑いですけれど、立秋を過ぎて暦の上ではもう「秋」なのですから。
んで、今回取り上げますのが、赤坂ミッドタウンの中にあるサントリー美術館で現在開催されている「おもしろびじゅつワンダーランド展」なのです。
実はワタクシ、サントリー美術館さん主催で行われたトーク&特別内覧会「おもしろびじゅつブログ講座」を見てきました。
で、まずはおもしろ美術ワンダーランド展の内覧会のレポートを。
来て、見て、感じて、驚いちゃって!
今回の「おもしろびじゅつワンダーランド展」の特徴は、直接作品に触れることはできないけれど、さまざまな形で作品を体感できるように展示に工夫を凝らしてあった、という部分です。
で、その展覧会のキャッチフレーズが、
「来て、見て、感じて、驚いちゃって!」
何がどうなってるんでしょうね?
ということで、まずはこちら。
なんじゃこりゃー! って感じでしょ?
コレ、なんだと思います?
じつはさっきの巨大なモノは、この本阿弥光悦作の『赤楽茶碗 銘「熟柿」』という茶碗を巨大化させたレプリカなのです。
これはお茶席で使われる茶碗で、赤土にうわぐすりをかけて焼いてあります。
で、このお茶碗の色合いといい、ポテッとしてトロッとしたふくらみかたといい、なんだか柿っぽく見えてこないですか?
そして決定的なのが、お茶碗の底の部分が柿のヘタみたいになってる、ってこと。
なぜこのお茶碗が「熟柿」と言う名前なのかを知るためは、ひっくりかえして裏側を見てほしいわけです。ですが、まさかお茶碗をひっくり返して展示するわけにはいきません。写真を横に置けば解決するのですが、それだと美術館に直接ホンモノを見に来た意味がない。
ということで、今回の美術展では、このような巨大なレプリカを作って展示してあるわけなのです。
でもホントのホントは、直接触って、ひっくり返して見てもらいたいわけで。
というか、昔のヒトは直接コレでお茶を飲んだり、ひっくりかえして裏側をながめたりして、日常的に使いながらその作品の見事さをカラダで感じていたわけですよね。
サントリー美術館は「生活の中の美」を基本テーマとしていて、その主な収蔵品はガラス工芸品、漆器、焼物、屏風などなどです。
これらに共通するのは、生活の中で使われていたものだ、という部分です。
わたしたちはガラスや漆や茶碗を使って食事をしますし、そのときに食事の味わいとともに、器の美しさを見て、触って、自然に楽しんできました。
また、屏風はその昔、部屋の間仕切りとして使われていて、日常生活の中にありふれたものでした。
しかしそれらはひとたび美術品として扱われると、ガラスケースの中に展示され、直接触れることは出来なくなります。そのことは「美術は日常から縁遠いものだ、敷居の高いものだ」と思って敬遠してしまう一因ではないでしょうか。
ということで今回の展示会では、直接作品に触れることはできないけれど、「来て、見て、感じて、驚いちゃって!」をテーマに展示に工夫を凝らしてあった、ということなんですね。
屏風が上手に
ということで、こんどは屏風の展示をご紹介。
屏風なんてワタシたちの生活からすっかり縁遠くなりましたが、昔はコレを上手に使って部屋の間仕切りにしていたわけで。
ときに大広間を仕切って二部屋、三部屋に。
あるいは小さく区切ってプライベートな空間に。
使わないときはパタパタ畳んでスッキリ収納。
なんということでしょう。
そんな屏風を使って、こんな展示がされていました。
これは、伝土佐光高筆『洛中洛外図屏風』です。
洛中…京都と、洛外…その周りを描いてあります。
平面的な地図のようでもあり、遥か雲の上から見下ろしたような図でもあり。観察するとあれこれこまごまとしたものが書き込んであります。
近寄って細かく見たい!
けど、ガラスケース越しではよく見えないですよね?
今回のおもしろ美術ワンダーランド展では、この屏風を巨大なタッチパネルディスプレイに表示させてありました。
これならナンボでも近付いて見れる!
表示された屏風図にはドット感やノイズ感を感じる事もなく、むしろ実物より明るく鮮明で見やすい印象です。
そんでもって、気になる建物や人物をタッチしてみると…
出た! 名前が出た!
と、こうなると気になっちゃって、あっちこっち触りたくなっちゃうのが人情ってもの。
江戸時代の京都を表示するGoogleMapっつーか「空から日本を見てみよう」っつーか。
ふつうに眺めていても「細かい部分まで書き込んであるねぇ」と、立ち止まって見たくなる屏風なのなのだが、アレコレの建物や登場人物にタッチしていると飽きることがない。あっという間に時間が過ぎていく。
このとき屏風は、美術・アート作品の域を越え、歴史をひもとくためのタイムマシーンと化していたのでありました。
この美術展は、写真撮影可!
ところで、いまどきのケータイは黙っていてもカメラを標準装備してますな。
美しい花を見たときや、なんだかかわいいネコを見かけたときに、ついケータイで撮ってしまうというヒトも多いんじゃないでしょーか。
だけど美術館では、いくら「美しい」「かわいい」と思っても、作品を写真に撮ることは御法度(→ 撮って良い美術館も、たくさんありますよ(後述))。
え、「でもバシバシ写真撮ってるじゃん」って?
そう、そこポイントなんスよ!
なんと今回の美術展は、すべての展示物が撮影可なのです!
えっとですね、細かい話をすると、著作権は作者の死後70年までとか、あとなんかの団体がその作品の著作権を保護しているばあいとか、いろいろあるらしいんですが。
でも今回の美術展の場合は、著作権が切れているという点と、全ての作品がサントリー美術館の収蔵品であるという点から、撮影が可能になったということなのでした。
たとえば、こんな感じにズラーッと藍色のガラスの器が並んでます。
このゾーンでは、カメラを持ってる人たちは必死になってバシバシ写真を撮ってました。
っつーかね、ガラスを照らし出すライトの光が、少しずつ変わっていくんですよ。
なので、じーっと見ていると飽きない。
ゆっくりゆっくり、とろけるように色が変わっていく。
その一瞬を撮ろう! とすると、これがなかなか難しい。思ったような美しさを切り出すことができないのだ。
おおおお、面白い!
ということで、いかがだったでしょうか?
もちろん、ほかにもたくさんの展示品がありますよ。
赤坂ミッドタウンのサントリー美術館で開催されている「おもしろびじゅつワンダーランド展」は、2012年8月8日〜9月2日まで。入場料は1000円なのですが、このクーポンを使うと100円引きで、それから中学生以下は無料だそうですよ。
もっと! 真夏の「芸術の秋」
んで、この記事を読んで「そっか、真夏の「芸術の秋」も面白そうだなぁ」と思っちゃったアナタへ。
せっかくなので、もうちょっとアレコレ美術館のご紹介を。
六本木は美術館の街
せっかくサントリー美術館まで行ったのなら、まっすぐ帰っちゃうのはもったいない!
ミッドタウンの目と鼻の先には、国立新美術館がありますよ。
それから、ちょっと行ったところにある六本木ヒルズの展望室の上には森美術館があるんです。
六本木ヒルズの展望台に行く料金には森美術館の入場料も含まれているので、展望台を見るついでにアートしちゃうなんて、どうですか?
美術館で写真が撮りたい!
美術館って、写真撮っちゃいけない的なムードがありますな。
ところが、国立博物館や国立美術館では、常設展に限り撮影が可能なんだそうです。知ってました?
撮影する場合には受付で許可を得る必要があり、三脚不可、フラッシュ禁止、一部作品は撮影不可、営利目的の撮影は不可、となってます。ま、ルールを守れば著作権の切れている作品に限り撮影可だよ、ということらしいです。
お住まいの地域の美術館や博物館も、ルールを守れば撮影可の作品があるかもしれませんよ。興味があるかたはぜひチェックしてみてください。
常設展示品といっても、展示替えが行われたりするワケで、見学するたびに新たな発見がありそうですな。
博物館の収蔵物には、あなたの写真欲をそそる被写体たちがワンサカ待ち構えているみたいですぞ。
体験参加型美術館と言えば、ルーヴルDNPミュージアムラボ
ワタシは「そういえば、こういう体験参加型の美術館っていえば、大日本印刷さんとこにミュージアムラボっていうのがあったっけなぁ」と思い出したのですが。
実は、今回のサントリー美術館のおもしろアート展には、特別協賛としてルーブルDNPミュージアムラボさんが加わっているのを発見しました。おお、ビンゴっ!
五反田にある「ルーヴルDNPミュージアムラボ」は、展示会ごとに1枚の絵にテーマを絞っているのが特徴です。
インタラクティブに構図を変えたり、ライティングを変えたり。いろいろ試しているうちに、作者の絵を描いた意図がわかってきたりして、なかなか面白い美術館でした。
サントリー美術館の「おもしろびじゅつワンダーランド展」のインタラクティブな展示が面白かったヒトは、こちらの美術館も気に入ると思います。
このルーヴルDNPミュージアムラボは、入場は無料なのですが、金土日のみ開館で、要予約となっています。
ということで長々と書いてしまいましたが、みなさま良い夏休みを。