ーOOO-マインのスイーパー

 
 ハートロッカーを見てみたのですよ。いまごろ。


 なんか公開当時は「ラストで主人公が日常では無くて戦場を選択うんぬん」みたいなことを言う人が多かった記憶があるのですが、実際見てみると、ストーリー面ではそこ以外語る部分の無い映画でしたな。
 あ、もちろんけなしてるわけじゃ無くて、スカッとして面白かったですよ。


 ニッポンのテレビドラマを見てると「刑事モノ」みたいなカテゴリーがはっきりとありますよね。テレ朝なんか今年の新ドラマは全部「刑事モノ」じゃないか?ぐらいの勢いで、なんかボコボコと作られちゃうわけですよ。
 で、全部を「刑事モノ」というカテゴリーでくくっちゃっても良いんだけど、その中には殺人事件を軸にして、トリックを見破るモノあり、警察内部の権力闘争を描くモノあり、人情モノあり、恋愛が軸になったり、さまざまな形のドラマが作られちゃうワケです。
 アメリカにおいては、そういう手垢なカテゴリーの一つとして「戦争映画」という枠があるわけです。ね。


 この映画、過去の様々な戦争映画と比較すると、主人公が地雷処理班であるという設定が卓抜ですな。
 というのは。
 普通、戦争映画というのは殺ったり殺られたりのドンパチなので、血しぶきが舞っちゃったり、人が死んじゃったりで、気が弱い人は見られないわけですが。
 しかしコレは地雷処理がテーマなので、あえて殺戮シーンを見せなくとも、地雷処理の緊張感で間が持っちゃうわけです。
 処理に成功すれば「ホッ」としてスッキリ。
 処理に失敗しても、「ドッカーン」で、絵的にスッキリ。
 とにかく地雷処理が終わる瞬間には「スッキリ」が保証されているわけです。
 このへんは、「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で、面白くなかったとしても、とにかく芸人が落下する瞬間に「笑い」が保証されるというのに似てますな。
 地雷処理のシーンでは血が流れないので、「いわゆる戦争映画」が苦手な人は大満足なわけです。


 んで、どんな映画でも、主人公というものは成功し続けて生き延びちゃうモノなのです。
 が、地雷処理に成功しっぱなしで主人公が生き延びっぱなしだと、あまりにも単調。
 で、この映画にはキチンとフツーの戦闘シーンも用意してあって、この部分は「主人公は地雷処理に成功させる超能力を持っている」という大前提が崩れるので、見ていてちょっとハラハラするし、フツーの戦闘シーンだから血は流れるし、ゴロゴロ死んじゃう。
 こういうシーンがあることで「いわゆる戦争映画」が好きな人も大満足なわけです。


 あの終わり方は続編が作りやすいようになってるし、なかなか良くできてる映画だったんではないでしょうか。