ーOOO-コールドストーン I scream
弊社の後輩君は甘いモン好きで、けっこうあちこちに食べに歩いているようで、いろんな情報を仕入れてくる。
「最近は、パンケーキ屋っていうのがあちこちに出来てて、なんかハワイの美味しいお店らしくて、いまどこに行ってもすっごい行列が出来ててですねー」
ふーん、すんごいブームなんだ?
「いや、いまはブームは落ちついた感じですねー」
オレは今はじめて知ったのに、もうブームが終わっちゃってんのかい!
「でもでも、すごい並ぶのは確かですよー」
で、どんな味なの?
「いや、いまはすごい行列してるから、また今度でいいかなぁって」
食べたこと無いんかーい!
こないだはこんな話をしてくれた。
「センパイセンパイ、コールドストーンアイスクリームって知ってますか?」
あー、聞いたことある! なんか冷たい石の上で、どんどん凍らせて、アイス作っちゃうみたいなヤツでしょ?
「食べたことありますか?」
いや、ないなぁ。
「あのですね、アレはですね、目の前で可愛いおねえさんが作ってくれちゃうから、すんごいイイですよ!」
へー、イイね!
「で、女の子が、アイスを作りながら歌を歌ってくれるんですよ!」
え?
「アイス作るときに、『…あの、歌ってイイですか?』とかいって、歌ってくれるんですよ!」
えー、何ソレ、「それではワタシの曲を聴いてください、『にんじゃりばんばん』です!」みたいな感じで、急にその場でカラオケとかしちゃうの?
「そーいうんじゃなくて、なんかよくわかんないけど、『コールドストーンアイスクリームの歌』みたいなのがあって、ソレを歌ってくれるんですよ!」
へー、そんな曲があるんだ?
「もしも歌ってくれないときは、女の子に『歌ってください』ってお願いすると、なんか恥ずかしそうにして歌ってくれるんだけど、そういうのってスゲェ可愛いんですよ!」
うわっ、それ、楽しそうだけど!
だけど!
女の子に歌をリクエストしちゃうの、ハードル高いわ…。
「いやっ! あそこにいったら、女の子の歌を聞かないと意味が無いッスね!」
力説するね!
「だから、センパイも、あそこにいったら女の子に頼んでみるべきですよ!」
うーん、じゃあ、いってみちゃおうかな、歌も頼んじゃおうかな…。
って、ちょっとまって。
…コレがもし、ウソだとしたら?
コールドストーンアイスクリームのおねえさんに『歌ってください』って頼んで、「へっ?」みたいな顔をされちゃったら? 「何、このオッサン…」みたいな目で見られちゃったら?
「ふふふふふ、そういう可能性もありますよね」
うわー! 頼めないわ! 怖いわ!
「センパイは、今のボクの話が、ウソだと思いますか?」
うーん…。
あ、君はふだんから面白いことは言うけれど、ウソはつかないヤツだから!
だから、ホント!
「いやいやいやいや、わかりませんよぉ? ボクがいつもウソつきじゃ無いって、どうして確信を持って言えるんですか? 今日に限っては、ウソをついているかもしれませんよ…」
うわあああ、どっちだ、どっちなんだ!
「ふふふ、ふふふふふ」