ーOOO-水は命の

 もくもくと柏餅を包みまくるゴールデンウィークなのです。
 弊社の味の秘密は「当日の手作り品である」という一点にかかっておりまして、休憩も取らずにワタクシたちは、たんたんと柏餅を包み続けていたのです。
 同じ動きをたんたんと続けながら、ワタシは一人、先日参加したマラソンのことを想い出します。あのときの苦労に比べれば、なんてことないさ。
 んで、疲れたところで少し水を飲んで。
 おお、水が美味い。
 なにやら甘みさえ感じるような。
 その水はただの水道水なのに、ワタシの乾いた身体にしみこんでいくように感じられました。


 しみじみと
「いやあ、水が美味いねぇ」
と言ったら、弊社の後輩君が
「あー、東京の水道水が美味しくなりました、って言ってましたよね。なんか浄水場が最新の設備になったとか」
 うん、いや、正しいかもしんないけど、そういう話がしたかったんじゃなくてさー、ぶつぶつ。


 でもやっぱり、水が美味しいのは浄水場が最新の設備になったから、かもしれませんな。
 水の味は、品物の味にかかわってくる。
 和菓子屋は、水を大量につかう仕事。小豆を煮るとき。モチをふかすとき。水道水が美味しくなったことで、ウチの会社のだんごは美味しくなっているだろう。
 水を大量につかうのはウチだけじゃない。
 ラーメン屋さんだってそうだ。麺をゆでるときだけじゃない。スープの出汁を取るときはグツグツと煮詰めるのだから、水が不味ければ不味さも凝縮されてしまう。
 お米を炊くときは水を使う。お味噌汁だってそうだ。
 お米を炊いたりお味噌汁を作るのは、食堂だけじゃない。家庭で料理をしたって、美味しくなっているはずだ。


 家庭で食事をするときも。
 どこかで外食するときも。
 水道の水が美味しくなっていることで、どんな料理も昔より味が1段レベルアップしているはずなのだ。
 東京中の全ての食事がちょっとおいしくなりました、…なんていうと、大げさだと思うだろうか?