ーOOO-30分と2時間と

 免許の書き換えの季節がやってきたのでございます。
 当方現在ゴールド免許。そして次回もめでたくゴールド免許なのであります。ゴールド免許更新の場合、優良運転者講習を受けることとなるのです。講習時間は、30分。
 ところで、免許の有効期間中に違反を犯した者は、違反点数の状況にもよるのですが一般運転者講習とか、違反運転者講習というモノを受けるのです。これは講義の時間が1時間〜2時間。


 ココでワタシは考えた。
 同じお金を払うのならば、長い時間の授業を受けた方がオトクなのではないか、と。
 言い換えると、違反をした運転者が短い授業を受けるのは問題ありそうですが、違反をしていない、というかペーパードライバーに近い状態の運転者が、あえて違反運転者用の2時間の授業を受けるというのは、アリではないかと。
 というか、ワタシは30分の優良運転者向け授業しか受けたことがないので、2時間の違反運転者向け授業ではどんなことをやっているのか興味津々なのであった。


 後輩に話をすると、後輩クンも30分の授業しか受けたことがないらしかった。
「アレって、なんかビデオ10分くらい見て、交通事故の発生件数の推移かなんかの話をして、講義が終わった後の免許の受けとりかたの手続きの話をして、最後は交通安全協会のお誘いとかで5分くらい潰して、…あと、なんかありましたっけ?」
「そーなんだよな、2時間の講習だったら、もっとたくさんビデオとか見られるんじゃないかと思うんだよな」
「えーでも、交通事故の現場のビデオとかで、車がぐちゃぐちゃで血がドバドバしたようなのとかだったら、イヤじゃないですか?」
「そしたら『あ、オレ、ギブアップです!ホントは優良運転者なので、30分の授業に戻してください!』とか言って」


 そこに、もうひとりの後輩が来る。
 かくかくしかじか。
「あ、オレ、こないだ免許の講習受けてきましたよ。違反運転者講習を」
「おー! それって、どんなビデオを見るの?」
「えっと、なんか椅子に座った女の人がインタビューを受けてるビデオで、顔の部分は写さないようにしてるんですけど、自分の子供が交通事故に遭っちゃった、みたいな話で、
『現場に行ったら、脳みそが飛び散っていて、パッと見た瞬間にウチの子供はもう助からないんだと思って』
みたいな、悲惨な話を切々と訴えていましたよ」
「悲惨な話で、精神的に来ますね…」
「オレも講義を受けたあとは、やっぱふだん以上に安全運転に気をつけちゃいましたよ。どうですかセンパイ?」
「いやいやいや、ちょっと聞いただけでズシーンときたよ。軽いノリで『2時間の講習を受けよう』とか思っちゃダメだな…」


 ということで、自分は30分の講義ですむのだというありがたさをかみしめながら、免許の書き換えを済ませましたとさ。
 安全運転第一。