ーOOO-夜遊び、昼遊び

 夜になると、我が家の子ネコちゃんが走り回ったりジャンプしたりで、夜遊びでドスンバッタンとうるさいわけで。
 んで、会社の昼休みに、猫を飼うのもなかなか大変ですねーと猫を飼っている人にグチをこぼしたら、
「それは…、猫と遊んであげるのが足りないッスね」
とのオコトバ。
 そ、そんな!
 猫と一緒に遊ぶったって、そんなに遊び方のバリエーションなんか思い浮かばないし、っていうか一人暮らしだからあんまり長く遊んであげられないし…
「いや、かんたんなのは、散歩ッスよ」
 散歩!
「首輪にリード付けて歩かせてあげれば良いんスよ」
 あー。
「あと、公園に連れて行ってあげたりすると満足度が上がるみたいッスよ」


 ということで、ある日の昼間に、おそるおそる公園デビュー
 せっかくだから、ちょっと遠くの広々した公園に連れてってあげて。
 キャリーバックから子ネコをとりだして。
 広い広い芝生の真ん中に「ぽてっ」と置いて。
 さあ!
 広い広い公園で、存分に遊ぶが良い!
 しかし、ウチの子ネコの杏ちゃんは、はじめての公園、はじめての芝生にビビッたのか、ただフルフルとと震えて、一歩も踏み出そうとしない。
 ちょ、おーい!
 せっかく来たんだから、遊ぼうぜ!
 と、意を決した杏ちゃんは、おそるおそる芝生を踏みしめて、まっすぐ公園の隅に行ったかと思うと、そのままヒザくらいの高さの木の茂みの中に突入していく。
 リードが茂みに引っかかるので手を離してやると、するすると奥の方に消えていく。
 くらーい茂みの中で、杏ちゃんはなにかゴソゴソやっている。
 奥からかすかにチリンチリンと鈴の音が聞こえる。
 だけどオレには見えない。
 なぜなら茂みの奥だから。
 ただひたすら子ネコが出てくるのを待つしか無い。
 こうなっちゃうと、今のオレは動物と散歩している人には見えないわけで。
 花さえ咲いてない木の茂みの前に、ただズーッと突っ立っているだけの、変なオッサンでしか無い。
 公園で遊んでいる親子連れが、コチラの様子を気にしながら、「しっ、あっち見ちゃダメよ!」的な感じになっているのが、切ない。
 ようやく子ネコの杏ちゃんが茂みから出てきたかと思ったら、アタマにモサモサと蜘蛛の巣なんかくっつけちゃったりなんかしていて、これはこれでもう大変。
 オイラの想像していた「散歩」とは全く異なった展開に、「コレがネコの散歩か…」とうなった次第でありました。


 ところでその日の夜も、ウチの子ネコの杏ちゃんは大暴れしました。
 公園デビュー、意味なし…ッ!