ーOOO-ダッシュしない

 平日昼間にウチで子ネコをモフモフしつつ怠惰にダラダラしていると、
 ♪ ピンポ〜ン
 家の玄関のチャイムが鳴ったので、さては回覧板か、はたまた宅急便か、変な訪問販売だったらどうしようかとか思いながら、ということはつまり気分的にはめんどくせえなあ的な成分多めで、のんびりとドアを開けると、そこには誰もいない。
 ほへ?
 一歩ドアの外に出ると、ああわかった。
 ピンポンダッシュだったか。
 やられたか。
 なんですぐ判ったかというと、曲がり角ひとつ向こうから、パタパタパタ…と遠ざかっていく子供の足音と、ちょっとパカパカ言うランドセルの揺れる音、そして
「まってよー!」
「バカ、早く早く!」
みたいな声が聞こえたから。


 もしも子供の足が速かったとしても、8段変速のマイ自転車に乗って全力ダッシュすれば捕まえられそうな気配ではあった。
 が、ここでちょっと考える。
 もしも追っかけて、とっ捕まえて、こっぴどく叱ったら。
「あそこの家のオッサン、怒るとチョー怖いんだぜ!」
「マジでー!?」
「なんか、ピンポンぐらいのことで、チョー切れちゃってんの、マジ怒ってんの」
「うっわ、しんじらんねぇ」
「ホラ、試しにオマエもピンポン押してみろよー!」
 ♪ ピンポ〜ン
みたいな事態が容易に想像され。


 コレは、捕まえるとむしろ、イタズラされやすくなるな?
 そう考えたワタシは、このイタズラを放置することにきめたのでした。


 


 ってか、いたずらっ子を追いかけるより、子ネコをモフモフしてたほうが楽しいしね。