花粉症を恐れる日々 ─◯◯◯-

毎年、春先になるたびに、花粉症をおそれていた。
私は花粉症ではなかったけれど、
健康な人でも、ある日突然発症するという。

なぜそんなに自分が花粉症を恐れているのかは
自分でも説明で説明できないのだが
会社で花粉症がつらそうな人を見ているからかもしれない。
マスクをさっとはずし、
鼻をかみすぎて真っ赤になった鼻でさらに鼻をかみ、
またさっとマスクを戻す。
しかし、そのマスクはもはや、げとげととしているのだ。

私は春先にくしゃみが出ると「コレは花粉症なのかなー?」と不安になる。
くしゃみが連発すると「ああ、とうとうオレも花粉症なのかー」と思う。
鼻水が止まらなくなる。
のどが痛くなる。
そして熱が出る。
「ああ、風邪だったんだー、花粉症じゃなくてよかったー」と
安心して寝込む。

だが、今年はちょっと違った。
何だかひとく涙もろい。
水のような鼻水がしるしると流れてきて、朝の通勤電車の中で大変だ。
そして、両目の目頭と目尻に、まつげが突き刺さったような痛みがある。
…花粉症、なのだろうか?
恐れていた物がついに来てしまったんだろうか?

会社の花粉症の先輩に、自分の症状を訴えると、
マスクをつけたままのフガフガした声で
「それは花粉症かもしれないねー。
 でも、そんな甘いもんじゃないよー。これからもっとひどくなるよー」
と、うれしそうに笑った。