キルビル2を劇場で見なかったあなたへ ─◯◯◯-

キルビル2はまあ、
友達にオススメするかと言われれば「うーん」って感じの
ウンコ映画ではある訳だが。
でも私自身の片寄った目でウンコ度合いを言うならば
おなじ「パート2」物としては
スピード2よりキルビル2の方がマシだ。

私自身はあの映画は結構好きで、
というか見た映画は大体どっか一個ぐらいはイイところがあって
そういうお気に入りのシーンとかが見つけ出せれば
「ああ良かった」って感じだ。
ゼニを払って見た以上は、なんかいいとこ見つけて帰りたいモノだ。

ところで井筒和幸がいくら「こちとら自腹じゃ」と力説しようが
番組からギャラは発生するだろうし
お車代だのロケ弁だの出る訳だ。
まったく、何が「こちとら自腹じゃ」だ!
俺にいわせりゃ俺の方がよっぽど自腹じゃ! まいったか。
いや、まあロケ弁って美味くないらしいんですが。

んでキルビル2。
DVDにもなったし、いつかきっとTVでやることもあるだろうけれど、
劇場で見なければ意味がないシーンが一つ、ある。

主人公のウマ・サーマン(ユマ・サーマンとどっちが正しいの?)が
悪漢に倒され、
棺桶の中に閉じ込められて墓場に埋められるというシーンがある。
棺桶に横たわるウマ・サーマンを横から捕らえた画面。
棺桶にフタがされ、クギが打ち込まれる。
ガンガンガン…と一本クギが打ち込まれるたびに
密閉度が上がり、フタのすきまからのかすかな光が消えて行く。
最後の一本のクギが打ち込まれると、画面は真っ暗になる。

この時、劇場は真の闇に包まれる。
客席にすわっている私は、シーンとなった場内で身動き一つ出来ない。
息苦しい気がするのだけれど、
あまりにもシーンとしているので息をつくことさえためらわれる。

ウマ・サーマンが懐中電灯の光を灯す。
そして四隅を照らすけれど、
棺桶の狭さがより強く感じられるようになるだけだ。
「ドジャァァ!」
不意のデカい音にびっくりする。
いよいよ棺桶に土がかぶせられたのだ。
「ドジャァ!」
「ドザァ!」
「ドサッ!」
「ザッ!」
土をかぶせる音はどんどんと小さくなっていく。

カメラは延々と棺桶の中のままで、
劇場は闇に包まれたままだ。
シーンとした場内で物音を立てることさえためらわれ、
息をすることも身じろぎすることも出来ずに
私はとても苦しい。
自分も棺桶の中で土に埋葬されているかのような苦しさ。

家で見たのではこの感じは決して味わえない。
この映画をお勧めするワケではないけれど、
もしもキルビル2を見ることがあったなら思い出して欲しい。