師匠のようにはなれません ─◯◯◯-

ワタシの愛車ロードスターだが
コレは友人の知り合いのヒトから格安で買ったものだ。
このヒトは60過ぎのおじちゃんで、
以後ここではこのヒトのことを仮に「師匠」と呼ぶ。

師匠はすごい。
このロードスターを買う時は、
マツダのディーラーに車検と納車整備をお願いしたのだが、
引き渡しの時にここの担当サンは
「この車は新車の時からずっと担当させていただいてますが、
 なにしろ「あの」お師匠サンのロードスターですからね。
 それはもう間違いないですよ。
 良いお買い物をなさいましたね」
と言った。

ディーラーさんに「あの」と言わせる師匠って、
一体どんな車の扱い方をしてきたのだろうか?
その疑問は後日解決する。

ある日、師匠は私の家にやってきて、
雨の降る中、車の磨き方の説明をしてくださったのだが
(↑すでに途方もなくすごい)
帰ろうと自分の車に乗り込む時に
さりげなく道路の上の水たまりを探して
さも当然のように水たまりの中に歩いていって
そこでじゃぶじゃぶと靴の裏の泥を落としてから
自分の車に乗り込んで
「じゃっ」
と言って去っていった。

憶測だけど、
やむなくこのロードスターを手放すにあたって
ディーラーとかで高く売って
どこか遠くの知らないヒトの手にわたるよりも、
自分の目の届く所に車を置いておきたくて
それでワタシに話が回ってきたのかなぁ、
という気がする。
格安で買ってはみたものの、
なんかその気迫に車をおろそかにできない。

とにかく師匠の車に対する気の使い方は
ハンパじゃない。
オレには全部は真似出来ないっすよ、師匠…。