ーOOO-あんずバラバラ事件
いつも愉快な弊社なのだが、こないだあんずの缶詰のフタを開けたら、中身がトロトロだった。
弊社で使っているあんずのシロップ漬け缶詰は、半分割りにしてあって種が抜いてある。
それが、フタを開けてみたら中身がトロトロで、実の形が全く残っていなかったのだった。水っぽいピューレというか、ビシャビシャでドロドロな感じだった。
実が一個だけ崩れているとかのレベルじゃなくて、一缶まるまるグズグズになっているというのは全く不思議だ。ちょっと調べてみたが。缶に穴が開いているわけではなかったし、腐った匂いがするというわけでもなかった。
んで、問屋さん経由で缶詰メーカーさんに問い合わせ。
メーカーさん曰く、「ごくごくまれにそういうことが発生することがあります」とのこと。そりゃまたどうして?
「あんずの実は、傷がつくとその部分から『破壊酵素』とよばれる酵素が発生します。
このため、傷がついた実が缶詰の中に混入すると、缶の中で破壊酵素がどんどん増えて、溶け崩れることがあります。そしてこの崩れた実からさらに破壊酵素が発生して、周りの実がどんどん破壊されてしまうことがあるのです。
このようなことが発生しないように、出荷前に検査を行うのですが、ごくまれに『検査ではオーケーだったけれど、出荷後に破壊が発生して、だんだん杏の身が崩れてしまうというコトもあるのです」
ははーん。なるほどねぇ。
破壊酵素ねぇ! 聞いたことないですよ。
ちょっと検索で調べてみたけれど、見つからなかったな。
しっかし、いったいなんで「破壊酵素」なんてものが含まれているんだろう?
あんずの実は、傷が付いたら崩れやすいってコトだよなぁ?
神様はいったいなんで、そんな破壊酵素なんてモノをあんずのDNAの中に書き込んだんだろうね?
「あ、ハイ、センパイ、オレ、思いついたんですけど」
と、ここで後輩君が手をあげる。
はい、なんでしょう? 意見を述べよ。
「あのですねぇ、傷が付くと実が崩れやすいって言うことは、杏の実が熟して地面に落ちると、実に傷が付いて、タネの周りの実が腐ってしまうから、タネが発芽しやすいってコトじゃないでしょうか?」
あー! なるほどねぇ!
実の部分よりも大事なのは、核になるタネの部分。発芽を促すようにするために、破壊酵素が仕込んである、と。
なーるほど、さすが神様、アッタマいいねぇ〜!
「あ、ハイ、センパイ、それ、オレが思いついたんですけど、つまりオレもアッタマいいってコトじゃないですか?」
ノーコメント。